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「議事録に何を書けば?」が決まる、後で読まれる議事録の書き方

約17分
「議事録に何を書けば?」が決まる、後で読まれる議事録の書き方

議事録を任されて発言をひたすら書き取ったのに、読み返すと、どれが決まった話なのか分からなくなることがあります。

会議の音声を全部文字にしても、欠席した人が知りたいことは別のところにあります。決まったこと、次に誰が何をいつまでにやるか、まだ決まっていないこと。議事録は、この3つを後から確認するための共有文書です。ここでは、会議前の準備から会議中の書き分け、終了直後の直し、共有までを順番にまとめます。受注後の引き継ぎ会議を題材にした完成例と、コピーして使える最小構成のひな形も置きます。

  • 議事録は会話の記録ではなく、決まったこと、次の行動、未決事項を後から確認するための共有文書です。
  • 会議前に、議題の横へ「この会議で決めること」を1行書いておくと、当日の記録先が決まります。
  • 会議中は発言を追わず、決定・行動・未決の3つへ振り分け、行動には担当者と期限を付けます。
  • 終了直後に、「検討する」で止まった行と主語の抜けた行を直してから共有します。
  • 共有するときは、確認期限、修正の連絡先、正本の置き場所をそろえて出すと、版の食い違いが起きにくくなります。
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議事録は、会話の記録ではなく決定と次の行動を残す共有文書

議事録とは、会議で決まったことと、決定を受けて動く内容を残す文書です。発言をそのまま写した記録とは、役割が違います。読む人が知りたいのは、誰がどう言ったかではなく、何が決まって次に何が起きるかです。

書く内容に迷ったら、読み手を1人だけ思い浮かべてみてください。想定するのは、その会議に出ていない人です。欠席した人がこの1枚を読んで、自分のやることを説明できれば足りています。出席者にしか通じない書き方は、直す余地が残っている合図です。

議事録には、後から確かめるための役割もあります。しばらく経ってから「あの件はどうなりましたか」と聞かれたときも、決定と未決が分かれていれば、その場で答えられるはずです。会話を並べただけの記録では、まず探すところから始まります。

議事録に書く項目は、4つのまとまりで足りる

項目は増やすほど埋まらなくなります。次の4つがそろっていれば、後から読む人が困ることはありません。

  • 基本情報:会議名、日時、場所または接続方法、出席者と欠席者、作成者。誰に確認すればよいかが分かる範囲まで入れます。
  • 決定事項:その場で結論が出た内容です。1件ずつ分けて、言い切りの形で書きます。
  • 次の行動:決定を受けて動くことです。誰が・何を・いつまでに、の3点をそろえます。
  • 未決事項:結論が出なかったことです。何が決まっていないのかと、次にいつ話すのかまで書きます。

議論の経過は、必要なときだけ数行足す程度で十分です。意見が割れた項目や、後で理由を聞かれそうな決定には、判断のもとになった事実を1行残しておくと役に立ちます。全部の発言を残そうとすると、読む側が決定を探せなくなります。

議事録に書く基本情報、決定事項、次の行動、未決事項の4つのまとまりと、経過は必要な分だけ残す扱いを示した図

 

会議前の準備は、議題の横に「決めること」を書くところから

議事録が書けない原因の多くは、会議が始まる前にあります。何を決める場なのかがはっきりしていないと、その日に記録する内容も定まりません。逆に言えば、準備の段階で書く内容の半分は決まります。

準備するものは2つです。1つは、基本情報を先に埋めた空の議事録。もう1つは、議題ごとの「決めること」です。どちらも会議が始まる前に用意できます。

  1. 会議名、日時、場所、出席予定者、作成者を先に入力しておきます。
  2. 議題を番号付きで並べ、それぞれの横に「この議題で決めること」を1行だけ添えてください。
  3. 決定事項、次の行動、未決事項の3つの見出しは、中身を空にしたまま置いておきます。
  4. 前回の議事録に未決事項が残っていれば、今回の議題の先頭へ移します。

「決めること」が書けない議題は、その時点では相談に近い扱いです。会議の主催者に、決めるのか意見を集めるだけなのかを一度聞いておくと、当日の迷いが減ります。議事録を書く人が主催者でないときほど、効いてくる一手間です。

会議中は、決定・行動・未決の3つへ振り分ける

当日は、発言を追いかけずに、3つの置き場所へ入れていきます。手が足りないときに優先するのは、決定と次の行動です。誰が何をいつまでにやるかは、その場で聞かないと埋まりません。残しておきたい経過は、短いメモか録音で後から補えます。

次の行動は、3点をそろえて書きます。誰が(担当者の名前)、何を(作業の内容)、いつまでに(日付)。「早めに」や「来週中に」ではなく日付で書いておくと、読んだ人がそのまま自分の予定へ入れられます。

そのうえで欠かせないのが復唱です。話がまとまった直後に、「作業用フォルダの作成は◯◯さん、15日まででよろしいですか」と声に出して確認します。担当する本人か会議の責任者から、はっきりした返事をもらえるまでは決定として扱いません。会議の終わりに時間をもらい、決定と次の行動をまとめて読み上げる形でも構いません。

担当や期限が、その場で決まらないこともあります。無理に埋めず、未決事項へ移してください。移すときは空欄のままにせず、「誰が決めるか」か「いつまでに決めるか」のどちらかを書き添えます。両方とも空いた未決事項は、次の会議でもう一度同じ話になります。

録音と文字起こしは、確認材料として使う

録音があると安心ですが、録音は議事録の代わりにはなりません。音声は最初から最後まで同じ密度で並ぶので、どこが決定でどこが雑談かは、聞き直しても分かれません。

使いどころは、書いた後の答え合わせです。数字や社名の聞き直し、言い回しが問題になりそうな項目の確認、聞き逃した部分の補完。この3つに絞ると、聞き直す時間も短く済みます。

録音に任せて困るのは、確認が後ろへずれることです。その場の短い復唱で済んだはずの確認が、翌日に音声を探して聞き直す作業に変わります。しかも聞き直して分からなかった場合、相手の記憶も薄れています。録音を残すことと、その場で復唱することは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。

文字起こしの道具を使う場合も、出てくるのは発言の並びです。決定と意見の線引きまではしてくれません。書き起こしから決定・行動・未決へ組み替える作業は、結局のところ人が判断します。記憶が残っている会議直後に自分で分けるほうが、早く終わります。

録音する前に、出席者へ一言断っておくと後の扱いが楽です。共有する範囲と、いつ消すのかも一緒に決めておくと、音声だけが残り続ける状態を防げます。

終了直後に、曖昧な言葉と主語抜けを直す

記録の精度が一番高いのは、会議が終わった直後です。記憶が鮮明なうちに、席を立つ前まで直してしまうほうが早く終わります。翌日に回すと、書いた本人でさえ意味を取り違えることがあります。

  • 曖昧な言葉:「検討する」「対応する」「確認する」で止まっている行は、誰が何をいつまでにやるのかへ書き換えます。書き換えられないなら、それは決定ではなく未決事項です。
  • 主語が抜けた行:「見積もりを送る」では、誰が送るのか分かりません。名前を入れ、分からなければ未決事項へ移します。
  • 決定と案の混同:「◯◯でいこうか」という発言は、まだ案の段階です。合意を確認できた項目だけを決定事項へ置き、残りは未決事項へ分けます。

直したら、もう一度だけ読み返します。読む位置は、その会議に出ていない人です。自分では省いたつもりのない言葉が、案外そこで引っかかります。

会議前、会議中、終了直後、共有という議事録づくりの4ステップと、行動を誰が・何を・いつまでにで書く原則を示した図

 

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引き継ぎ会議で埋めた完成例と、最小構成のひな形

形が見えたほうが早いので、埋めた例を1つ置きます。題材は、受注が決まった後に、営業担当から実務担当へ引き継ぐ会議です。説明のために作った例なので、実在の会社や取引ではありません。

会議名は「◯◯商事 受注後の引き継ぎ会議」、日時は5月12日の14時から40分間。出席は営業担当、実務担当、経理担当の3名で、作成者は実務担当です。議題は、作業の開始日、月次報告の形式、請求の締め日の3つ。

区分内容担当と期限
決定事項作業開始は5月18日。初回は現状の確認まで決定のみ(行動なし)
決定事項月次報告は所定の様式でメール送付、毎月第3営業日決定のみ(行動なし)
次の行動作業用フォルダの作成と、受注時の資料の移動実務担当/5月15日まで
次の行動開始日を先方の窓口へメールで連絡営業担当/5月13日まで
未決事項請求の締め日を25日と月末のどちらにするか経理担当が先方へ確認/5月20日までに回答

この表から読み取れることを2つ挙げます。1つは、決定事項の行に担当者が入っていないことです。決まっただけで新しい作業が出ない項目は、それで構いません。もう1つは、未決事項にも担当と回答期限が入っていることです。決まっていない項目こそ、次に誰が動くかを書いておかないと、そのまま止まります。

同じ形を毎回作れるように、最小構成のひな形も置きます。【 】の中を、自分の会議の内容へ入れ替えてください。

■ 【会議名】
日時:【日付】【開始時刻】〜【終了時刻】
場所:【会議室名またはオンラインの接続方法】

出席:【出席者名】
欠席:【欠席者名】
作成:【作成者名】

■ 議題
1. 【議題1】(決めること:【決めること】)
2. 【議題2】(決めること:【決めること】)

■ 決定事項
・【決まった内容】
・【決まった内容】

■ 次の行動
・【担当者名】/【作業の内容】/【期限の日付】まで
・【担当者名】/【作業の内容】/【期限の日付】まで

■ 未決事項
・【決まっていないこと】(【決める人または確認する人】/【いつまでに】)

■ 確認のお願い
内容に違いがあれば【日付】までに【連絡先】へご連絡ください。
正本は【保存場所】に置きます。

入れ替えるのは【 】の中だけで足ります。項目名は、自分の職場の呼び方へ寄せて構いません。「次の行動」を「ToDo」、「未決事項」を「持ち帰り」と呼んでいるなら、そちらに合わせたほうが読まれます。オンラインの会議が多いなら、場所の行を接続方法だけに変えると空欄が減ります。定例の会議なら、前回の未決事項を貼る欄を議題の上へ足しておくと便利です。

共有は、確認期限・修正の窓口・正本の置き場所をそろえて出す

書き終えたら、社内の決まった手続きに沿って、記憶が鮮明なうちに出します。上長の承認や回覧の順番がある職場なら、そこは飛ばさずに通してください。時間が空くほど、間違いに気づける人は減っていきます。

共有するときに添える文は、3行で十分です。いつまでに確認してほしいか。違いがあればどこへ連絡すればよいか。正式な版はどこに置いてあるか。この3つがないと、修正がそれぞれの手元で起きて、どれが最新か分からなくなります。

正本の置き場所は、共有フォルダでも社内の情報共有ツールでも構いません。決めておきたいのは、1か所だけを正とし、メール本文へ貼り付けた版は控えとして扱うことです。訂正が入ったときは正本を直してから、どこを直したかを一言添えて出し直します。

確認の期限は、いちばん早い作業が始まる日より前に、余裕を見て置くのが目安です。訂正が入っても間に合う日を選んでおくと、間違ったまま作業が始まるのを防げます。期限を書かずに「ご確認ください」だけで送ると、返事が来ないまま作業日を迎えることになります。

書けたかどうかは、4つの目安で確かめる

出す前に見るのは、次の4つです。

  • 次の行動の全部に、担当者の名前と日付が入っています。
  • 決定事項の欄に、まだ案の段階の項目が混ざっていません。
  • 欠席した人が読んで、自分のやることを1つ説明できます。
  • 確認の期限、連絡先、正本の置き場所が書いてあります。

抜けやすいのは3番目です。書いた本人は会議に出ているので、省略に気づけません。読み返すときだけ、その会議に出ていない同僚を思い浮かべてください。

担当者名と日付、決定事項に案が混ざっていないこと、欠席者が説明できること、確認期限と正本の場所という4つの目安を示した図

 

よくある失敗と、その場でできる直し方

議事録が止まる場所は、だいたい決まっています。多い4つと、その場でできる直し方です。

  • 会話を時系列で写しただけ:上から読み直して、決定・次の行動・未決事項の3つへ振り分けます。どれにも入らない発言は、消して構いません。
  • 「検討する」で止まっている:誰が、何を、いつまでに確認するのかへ書き換えます。その場で決まっていなければ、未決事項へ移して回答日を入れてください。
  • 録音頼みで確認が遅れた:次の会議からは、終わりの復唱を戻してください。すでに遅れているなら、決定事項だけ先に共有し、経過は後から足します。
  • 共有後に認識違いが出た:発言の原文を足すのではなく、その項目だけを決定者へ確認します。直したあとは、変えた行が分かる形で出し直してください。

もう1つ、書式を会議ごとに変えてしまう失敗もあります。並び順が毎回違うと、読む人はどこに何があるかを探すところから始めます。ひな形は1つに決めて、足りない項目だけ足すほうが、書く側も読む側も楽です。

まとめ:次の会議は、議題欄に「決めること」を1行足す

議事録に何を書けばよいか分からなくなるのは、決定事項、次の行動、未決事項という3つの置き場所が分かれていないからです。置き場所が1つにまとまっていると、どの発言をどこへ入れるか決められません。先に3つへ分けておけば、書く内容はそこへ収まるはずです。

手順をもう一度並べます。会議前に、基本情報と議題、決めることを先に入れておきます。会議中は3つへ振り分け、行動には担当と期限を付けて、その場で復唱してください。終了直後に曖昧な言葉と主語抜けを直し、確認期限と連絡先、正本の置き場所を添えて共有します。録音は答え合わせに使い、復唱の代わりにはしません。

次の会議で試すことは、1つで足ります。議題を書くときに、それぞれの横へ「この議題で決めること」を1行足してみてください。決めることが先に決まっていれば、当日に書き取る内容も自然に絞れます。その1行が、後から読まれる議事録の出発点になります。

Q&A

Q1. 会議中に発言が速くて、書き取りが追いつきません。

全部は追わなくて大丈夫です。決定と次の行動だけ拾い、迷った発言には印を付けて先へ進みます。印の箇所は、会議が終わった直後に出席者へ該当箇所だけ聞けば埋めやすくなります。

Q2. 議事録に発言者の名前は入れたほうがよいですか。

原則は不要です。名前が要るのは、決定した人と、次の行動を担当する人だけ。ただし反対意見が出た項目は、後で経緯を聞かれやすいので、誰の指摘かを1行残しておくと役立ちます。

Q3. 承認や押印が必要な議事録でも、同じ形で書けますか。

中身の並べ方は同じで構いません。承認欄が要る場合は、作成者と承認者の欄を基本情報の下へ足します。株主総会や取締役会のように記載事項が法令で決まっている議事録は、様式の要件を先に確認してください。

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