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「稟議が通らない」を変える、決裁者が動く稟議書の書き方

約21分
「稟議が通らない」を変える、決裁者が動く稟議書の書き方

時間をかけて書いた稟議書が「判断材料が足りない」で戻ってきて、どこをどう直せばよいのか分からず手が止まっています。

稟議が通らない原因を文章の上手さに置くと、打つ手がなくなります。決裁者が見ているのは、可否を決めるのに足りる材料がそろっているかどうかです。ここでは、月額3万円のクラウドサービスを3か月だけ試験導入する案を例に進めます。扱うのは、判断材料の10項目、現状の時間の数え方、何もしない案を含む比較です。そのあと、撤退条件、完成例とひな形、差し戻しの直し方まで進みます。

  • 稟議書は決裁者を説得する作文ではなく、可否を決めるための判断材料をそろえる文書です。
  • 書き始める前に、決裁規程、決裁者、指定様式、提出期限、必要添付の5つを確かめます。
  • 判断材料は、承認事項から撤退条件までの10項目に分けます。空いている項目が、差し戻しの理由です。
  • 効果の数字は測った値と見込みを分け、見込みには計算の内訳と測り直す日を添えます。
  • 差し戻されたら文章を増やさず、足りない判断材料を1つ決裁者に確認してから、その項目だけを直します。
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稟議書は、決裁者が可否を決めるための判断材料をそろえる文書

稟議書は、決裁者を説得するための作文ではありません。決裁者が可否を決めるのに要る材料を、決まった順番でそろえて渡す文書です。言い回しを整える前に、材料がそろっているかを見ます。

「判断材料が足りない」という差し戻しは、文章の評価ではありません。決めるのに要る数字や条件が欠けていて、決裁者が可とも不可とも書けない状態を指しています。直すのは表現ではなく、欠けた項目です。

稟議が通らない原因を文章力に置くと、打つ手が消えます。問題として扱うのは、承認事項や効果の根拠といった項目のどれかが空いていることです。空いた項目は、数える作業と、社内で確かめる作業で埋まります。

この先で使うのは、説明のために作った合成例です。実在の会社や取引の記録ではありません。例にするのは、受注管理表から請求書作成用の表へ手で転記している作業です。これを月額3万円のクラウドサービスに置き換える案を扱います。クラウドサービスとは、契約した期間だけインターネット経由で使う業務ソフトのことです。

現状の転記は、1回36分の作業を営業日20日分、合わせて月12時間かかっています。この案は3か月だけの試験導入として申請し、続けるかどうかは実測で決めます。

書き始める前に、決裁規程まわりの5つを確かめる

稟議書の様式と出し方は、社内の決裁規程で決まっています。決裁規程とは、どの金額をだれが決め、どの順番で回すかを定めた社内の決まりです。公開されている書き方より、自社の決裁規程と指定様式を先に見ます。

書き始める前に確かめるのは、次の5つです。

  • 1 決裁規程:金額ごとに、だれが可否を決めるかが決まっています。合成例では、100万円未満の契約は部長決裁です。
  • 2 決裁者:可否を決める人と、そこへ届くまでの回付順を確かめます。合成例では、課長が確認してから部長へ回る形です。
  • 3 指定様式:社内に稟議書のひな形があるかどうかを総務へ確かめます。項目名や並びが決まっている場合は、そちらが優先です。
  • 4 提出期限:合成例では、契約開始を希望する月の前月10日までと決まっています。3月1日に始めたいので、2月10日が期限になります。
  • 5 必要添付:合成例では、見積書と、サービスの料金が載ったページの写しの2点です。

この記事で並べる10項目は、指定様式がない場合の書き方です。様式がある会社では、様式の項目名に10項目を当てはめます。ただし、決裁規程と指定様式が、この記事の書き方より優先します。

期限は、決裁が終わる日ではなく提出する日です。回付には数日かかるので、始めたい日から逆算して提出日を決めます。

判断材料は、10項目に分けてそろえる

判断材料は、承認事項から撤退条件までの10項目です。どの項目が空いているかが分かると、差し戻しの理由も読み替えられます。

書く順番は、この並びのままで構いません。先に埋めるのは2の現状と6の効果の根拠で、ここが数字になると1の承認事項も1行で書けます。

  • 1 承認事項:何を、いつから、いくらで承認してほしいのかを、1行で書きます。
  • 2 現状:いま何に何分かかっているのか。数えた期間と数え方も同じ行に入れます。
  • 3 目的:何を減らすのか、または何を守るのかを1文にします。
  • 4 実施内容:承認が出たあとにする設定や切り替えの中身です。
  • 5 費用:月額と期間の合計、支払い方法。添付する見積書と同じ金額にします。
  • 6 効果の根拠:測った値と見込みを分け、見込みには計算の内訳を添えます。
  • 7 比較案:ほかの案を同じ判断軸で並べる欄です。何もしない案も入れます。
  • 8 リスクと対策:外れたときに何が起きて、だれがどう動くのかを書き分けます。
  • 9 実施日程:提出から開始、集計、判断までの日付です。
  • 10 撤退条件:やめる基準を、日付と数字で書きます。

農林水産省が公開している企画書と稟議書の基本構成の資料でも、目的と効果を明確にすることが挙げられています。費用対効果と実施予定まで具体化する点も同じです。目的と効果は10項目の3の目的と6の効果の根拠、費用対効果と実施予定は5の費用と9の実施日程に当たります。

10項目のうち、手が止まりやすいのは6の効果の根拠、7の比較案、10の撤退条件です。残りの7項目は、決まっている事実を写す作業になります。

稟議書の判断材料を、承認事項、現状、目的、実施内容、費用、効果の根拠、比較案、リスクと対策、実施日程、撤退条件の10項目に分けて1から10の番号付きで並べ、空いた項目が差し戻しの原因になることを添えた図。説明用に作った図で、具体的な金額や日付は入れていない

効果の数字は、測った値と見込みを分けて書く

効果の欄でいちばん効くのは、自分で数えた現状の値です。サービスの宣伝文に載っている削減率は、自社の作業量とは関係がないので使いません。まず記録するのは、同じ作業の回数と、1回あたりの分数です。

合成例では、1月の20営業日分を記録しています。1回36分の内訳は3つに分かれます。受注管理表から当日分の行を拾う12分、表の形に整える15分、金額と件数を目で突き合わせる9分です。36分を20日分で、合計は月12時間です。

見込みは、この内訳のどこが置き換わるかで出します。拾う12分と整える15分が、サービスの取り込みに置き換わります。残るのは突き合わせ9分と、取り込み結果の確認3分です。1回12分を20日分で月4時間、削減見込みは月8時間になります。

ここで「見込み」と書き添えます。断定して書くと、外れたときに次の稟議が出せません。削減の8時間は確定値ではなく、試験期間に実測して置き直す数字です。

時間を金額に換算するときは、社内の人件費単価を経理に確かめてから使います。合成例では1時間4,000円と置きます。これは説明のために置いた値で、実際の単価は会社ごとに違う数字です。

削減見込みの8時間は、32,000円に当たります。月額費用の3万円を2,000円上回るだけで、余裕は小さいです。3万円を単価4,000円で割ると7.5時間になり、月7.5時間以上の削減で費用に見合う形です。

余裕が小さいからこそ、いきなり本格導入ではなく3か月の試験導入で出します。決裁者から見ても、外れたときの損失が9万円で止まるほうが可を出しやすくなります。

転記ミスの手直しも減るかもしれませんが、いまの件数を数えていません。数えていないものは効果の根拠に入れず、試験期間に数える項目として4の実施内容へ書きます。

比較案には「何もしない案」を入れ、同じ判断軸で並べる

比較案は、機能の数を並べる欄ではありません。同じ判断軸で、何もしない案まで含めて並べる欄です。決裁者は、ほかの選び方と比べてこの案がどこで勝つのかを見ています。

合成例で使う判断軸は4つです。月の費用、転記にかかる月の時間、始めるまでの準備、やめるときの手間を並べます。他社サービスの機能一覧は、ここには入れません。

案月の費用転記にかかる月の時間始めるまでの準備やめるときの手間
A 何もしない案0円12時間(測定値)なし担当1人に集中した状態が残ります
B 月額3万円のサービスを3か月試験(今回の案)3万円4時間(見込み)受注管理表の項目名をそろえます試験期間の満了でそのまま終わります。続けるときだけ、改めて申し込む形です
C 表計算ソフトで自作0円8時間(見込み)初月に表を作り込みます作った表が残り、直せる人が限られます

C案の8時間は、整える15分が関数で3分になる見込みから出します。関数とは、表計算ソフトに決まった計算をさせる命令のことです。拾う12分と突き合わせ9分は手作業のまま残るため、1回24分で月8時間になります。削減見込みは月4時間で、B案の半分にとどまります。

一方で、費用だけを見ればA案とC案が有利です。B案を選ぶ理由は、削減見込みがいちばん大きく、しかも試験期間の満了でそのまま終われる点です。C案は費用が0円でも、作った表と、直せる人が1人という状態が残ります。

案を4つ以上に増やすと、決裁者が軸をたどれなくなります。並べるのは、実際に選べる案だけです。検討していない案を数合わせで足すと、質問されたときに答えられません。

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リスクと撤退条件は、やめ方と日程までそろえて書く

リスクの欄は、起きそうなことを並べる場所ではありません。起きたときに、だれが何をするのかまで書く場所です。合成例では、次の3つを書きます。

  • 削減が見込みどおりにならない:3か月の試験導入にし、期間の満了でそのまま終わる契約にします。
  • 受注管理表の項目名が変わって取り込みが止まる:項目名を変える手順書に、サービス側の設定変更を1行足します。担当は申請者です。
  • 担当が1人のまま残る:試験期間のうちに操作手順を1枚にまとめ、同じ課の2人が同じ作業をできる状態にします。

書いていないリスクは、必ず残るものです。合成例では、3つのほかに問題が出た場合の報告先と期限を、4行目として同じ欄へ足します。気づいた日のうちに課長へ報告し、試験を止めるかどうかを相談する、という1行です。

撤退条件は、日付と数字で書きます。合成例では、3月分と4月分の実測で転記が月4.5時間を超えていた場合、継続の稟議書を出しません。4.5時間は、月12時間から損益分岐の7.5時間を引いた残りです。

実施日程は、提出から終了までを日付で並べます。合成例の日程は、次の7行です。

  • 2月6日:稟議書を課長へ提出します(提出期限は2月10日)。
  • 2月14日まで:課長から部長へ回付し、決裁を受けます。
  • 2月28日まで:見積書と契約条件の確認と、受注管理表の項目名をそろえる準備です。
  • 3月1日:試験導入を開始し、1回ごとの作業時間を記録します。
  • 4月3日と5月1日:前月分の作業時間を集計します。
  • 5月20日:2か月分の実測で継続を判断し、続ける場合は継続の稟議書を提出する日です。
  • 5月31日:試験期間が終わります。申し込まなければ、そのまま終了します。

判断を5月20日に置いたのは、3か月目の実測を待つと継続の決裁が間に合わないからです。3か月の試験なら、判断は2か月分の実測で前に出します。

完成例と、別の案件へ差し替えるひな形

ここまでの10項目を1枚にすると、次の形になります。金額、日付、作業名はすべて合成例の値です。

件名:請求データ転記サービスの試験導入について(部長決裁)

1 承認事項:請求データの転記サービスを、3月1日から5月31日までの3か月だけ試験導入します。費用は月額3万円、合計9万円です。この内容の承認を願います。

2 現状:受注管理表から請求書作成用の表へ、営業日ごとに手で転記しています。1月の20営業日分を記録すると、1回36分、月12時間です。

3 目的:転記にかかる時間を減らし、担当1人が休むと止まる状態をなくします。

4 実施内容:サービスを契約し、受注管理表の項目名をそろえてから、1日1回の取り込みに切り替えます。試験期間に記録するのは、1回ごとの作業時間と、突き合わせで見つかった誤りの件数の2つです。

5 費用:月額3万円、3か月で合計9万円です。添付の見積書と同じ金額で、支払いは請求書払いにします。

6 効果の根拠:現状は月12時間です(1月の20営業日分の測定値)。取り込みに置き換わるのは、行を拾う12分と表の形に整える15分です。残るのは突き合わせ9分と取り込み結果の確認3分で、1回12分、月4時間になります。削減見込みは月8時間ですが、確定値ではありません。試験期間に実測して置き直します。経理に確かめた人件費単価1時間4,000円で換算すると月32,000円で、費用を2,000円上回ります。

7 比較案:何もしない案は費用0円、転記は月12時間のままです。表計算ソフトで自作する案は費用0円、月8時間の見込みですが、作った表を直せる人が限られます。本案は月3万円で月4時間の見込みで、試験期間の満了でそのまま終われる形です。

8 リスクと対策:①削減が見込みどおりにならない→3か月の試験とし、満了でそのまま終わる契約にします。②項目名の変更で取り込みが止まる→項目名変更の手順書にサービス側の設定変更を足します(担当:申請者)。③担当が1人のまま残る→操作手順を1枚にまとめ、同じ課の2人が作業できる状態にします。④上記以外の問題→気づいた日のうちに課長へ報告し、継続を相談します。

9 実施日程:2月6日に提出(期限は2月10日)、2月14日までに決裁、2月28日までに準備。3月1日開始、4月3日と5月1日に前月分を集計、5月20日に継続を判断、5月31日に試験期間終了。

10 撤退条件:3月分と4月分の実測で、転記が月4.5時間を超えていた場合は、継続の稟議書を提出しません。

添付:見積書1部、サービスの料金ページの写し1部

別の案件で書くときは、次のひな形を使います。【 】の中だけを自分の案件の値へ置き換えます。

件名:【案件名】について(【決裁区分】)

1 承認事項:【何を】を【いつから】から【いつまで】まで実施します。費用は【月額】、合計【金額】です。この内容の承認を願います。

2 現状:【作業名】を【だれが】【どのように】行っています。【数えた期間】を記録すると、【1回あたりの時間】、【月あたりの時間】です。

3 目的:【減らすもの、または守るもの】を【どうするか】します。

4 実施内容:【承認後にすること】を行い、【切り替える内容】に変えます。【期間中に記録する項目】も記録の対象です。

5 費用:【月額】、【期間】で合計【金額】です。添付の【見積書など】と同じ金額で、支払いは【支払い方法】にします。

6 効果の根拠:現状は【測定値】です(【数え方】)。置き換わるのは【置き換わる作業と時間】です。残るのは【残る作業と時間】で、【見込みの時間】になります。削減見込みは【削減見込み】ですが、確定値ではありません。【測り直す時期】に実測して置き直します。

7 比較案:何もしない案は【費用】、【時間】のままです。【別の案】は【費用】、【時間】の見込みですが、【残るもの】が残ります。本案は【費用】で【見込みの時間】です。

8 リスクと対策:①【リスク1】→【対策1】。②【リスク2】→【対策2】(担当:【担当】)。③【リスク3】→【対策3】。④上記以外の問題→【報告先】へ【いつまでに】報告し、継続を相談します。

9 実施日程:【提出期限】までに提出、【決裁予定】までに決裁、【準備期間】に準備。【開始日】開始、【集計日】に集計、【判断日】に継続を判断、【終了日】に終了。

10 撤退条件:【判断に使う実測】で【基準の数字】を【上回った、または下回った】場合は、継続の稟議書を提出しません。

添付:【添付資料名と部数】

差し替えるのは【 】の中だけです。項目名と番号は、指定様式がある場合はそちらに合わせます。

このひな形が合うのは、費用が出て、やめる判断があり得る案件です。人事の発令や規程の改定のように、やめる判断を前提としない稟議では、6と10の欄が空きます。その場合は、6を「何を守るか」、10を「いつ見直すか」に置き換えます。

稟議書の完成例とひな形を左右に並べ、どちらも承認事項から撤退条件までの10項目と添付の同じ並びであること、ひな形側は角かっこの空欄だけが置かれていることを示した図。説明用に作った図で、具体的な金額や日付は入れていない

差し戻されたら、足りない判断材料を1つ確認してから直す

差し戻しのひと言は、そのままでは直せません。言葉を「足りない判断材料」に置き換えてから、その項目だけを直します。本文を増やすやり方は、たいてい逆に働きます。

決裁者に聞くのは1つだけです。「どの項目のどの数字があれば、可否を書けますか」と確認します。承認を迫る聞き方にすると、材料が足りないまま押し問答になります。

差し戻しの言葉足りていない判断材料直す項目
「判断材料が足りない」自分で数えた現状の数字2 現状と6 効果の根拠
「費用対効果が見えない」費用と削減を比べる計算5 費用と6 効果の根拠
「ほかの方法は検討したのか」同じ判断軸で並べた案7 比較案
「失敗したらどうするのか」やめ方と報告先8 リスクと対策、10 撤退条件
「急ぎすぎではないか」日付を決めた根拠9 実施日程
「今やる必要があるのか」現状と目的のつながり2 現状と3 目的

直したあとに添えるのは、変えた項目と変えた理由の1行です。全文を書き直すと、どこが変わったのかを決裁者が探すことになります。

判断材料がそろっていてなお可にならないときは、改めて承認できない理由を決裁者へ確認します。残る論点は損失の大きさだけとは限らず、予算の枠、始めたい時期、ほかの案件との優先順位、社内の方針も考えられます。どの論点が引っかかっているかを聞き取るまでは、申請の規模を小さくしても戻りは止まりません。損失の大きさが論点だと確認できた場合は、合成例の3か月9万円を1か月3万円へ下げる選び方があります。金額を下げても決裁区分は変わらないので、決裁者は同じままです。

提出前に点検する7項目

出す前の点検で見るのは、文章ではなく項目の中身です。次の7つに空欄や言い換えが残っていないかを、順に確かめます。

  1. 承認事項の1行に、何を、いつから、いくらで、の3つが入っているか。
  2. 現状の数字に、いつ、どうやって数えたかが添えてあるか。
  3. 見込みの数字に「見込み」と書き、計算の内訳があるか。
  4. 比較案に、何もしない案が入っているか。
  5. 撤退条件に、日付と数字が入っているか。
  6. 決裁規程、決裁者、指定様式、提出期限、必要添付の5つを確かめたか。
  7. 添付の見積書の金額と、費用の欄の金額が同じか。

7つが埋まっていれば、決裁者は可か不可のどちらかを書けます。可にならない場合も、理由は「材料が足りない」ではなく「この条件では認められない」に変わるはずです。どの条件が引っかかっているかを聞き取れば、金額、期間、始めたい時期、ほかの案件との優先順位のうち、見直す先が決まります。

提出前に点検する7項目を、承認事項の1行、現状の数え方、見込みの内訳、何もしない案、撤退条件の日付と数字、決裁規程まわりの5つ、見積書との金額一致の順にチェックリストで並べた図。説明用に作った図で、具体的な金額や日付は入れていない

最初の1件は、現状の時間を数えるところから

稟議書の出来は、文章の上手さより、手元にある数字の数で決まります。承認事項から撤退条件までの10項目のうち、自分しか用意できないのは2の現状と6の効果の根拠です。

今日できるのは、通したい案件の作業を1回分だけ計ることです。1回何分かかり、月に何回あるかが分かれば、現状の欄は1行で書けます。見込みと撤退条件は、その数字から組み立てられます。

数える前に見ておくのは、決裁規程と指定様式です。提出期限から逆算すれば、数える日数も決まります。通らなかったときに直すのは文章ではなく、空いていた項目です。

Q&A

Q1. 指定様式に「効果」の欄が1つしかなく、測った値と見込みを分けて書けないときはどうすればよいですか。

欄の中を2行に分け、1行目に測った値と数え方、2行目に見込みと計算の内訳を書きます。欄に収まらない分は別紙にまとめ、添付資料の一覧へ1行足してください。様式の項目名や並びは変えず、中身の書き方だけを調整します。

Q2. 金額が決裁規程の上限を超えて役員決裁になる場合も、同じ10項目でよいですか。

10項目は同じですが、比較案と撤退条件に求められる細かさが変わります。金額が上がるほど、やめ方と、やめたあとに何が残るかを具体的に聞かれます。回付する人数も増えるため、提出期限の逆算を先にやり直してください。

Q3. 先に口頭で相談してから出すのと、稟議書だけを出すのでは、どちらがよいですか。

回付する人が2人以上いる案件なら、1人目へ先に相談し、足りない項目を聞いてから書くほうが戻りが減ります。ただし、相談で出た内容は必ず稟議書へ書き、口頭の合意を前提にした書き方はしません。読む人が替わっても同じ判断ができる形にしておきます。

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