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「飲食店の経理が回らない」を解決する、店を支える数字管理の型

約15分
「飲食店の経理が回らない」を解決する、店を支える数字管理の型

「閉店後にレジを締めても数字が合わず、経理まで手が回らない」と感じる日はありませんか。

飲食店の経理は、売上を一つにまとめるだけでは回りません。現金、カード、QR、デリバリーでは、お金が入る日も手数料の引かれ方も違うからです。この記事では、飲食店の経理を回す方法として、営業後に残す数字、週ごとに追うずれ、月末に確認する項目を分けて整理します。そのまま使える日次締めシートも用意しています。まずは一日分だけ記録してみると、店に必要な項目が見えてきます。数字の置き場所が決まれば、確認や引き継ぎもしやすくなります。

  • 売上が立った日と、口座へ入金される日を分けて記録する
  • 日次は売上経路、現金差額、仕入・ロス、未入金を残す
  • 週次は決済明細と在庫のずれ、月次は利益と入金残を確認する
  • 数字が合わない日は無理に直さず、差額と確認内容を残す
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飲食店の経理は、売上とお金の動きを分けて見る

飲食店の経理とは、店で起きた売上や仕入、経費などを記録し、実際のお金の動きと結び付ける仕事です。会計ソフトへ入力することだけが経理ではありません。その前に、店内で起きた事実を抜けなく残す作業があります。

ここで混同しやすいのが「売上」と「入金」です。現金は会計とほぼ同時に手元へ入ります。一方、カードやQR決済、デリバリーの売上は、決済会社などを通じて後から口座へ入ります。さらに、振込時に手数料が差し引かれることもあります。

そのため、通帳へ入った金額だけを売上にすると、その日の営業実績が見えにくくなります。反対に、レジの売上だけを見ていると、まだ入っていないお金や手数料を見落とします。まずは「売上が立った日」と「お金が入った日」を別の欄に置いてみてください。ここが分かれると、数字管理の土台ができます。

最初に整えるのは、売上経路ごとの記録

一日の売上は、合計額だけでなく、どの経路で受け取ったかを分けて残します。売上経路とは、代金の受け取り方のことです。まずは、実際に店で使っている方法ごとに区切れば十分です。

  • 現金:レジ内の現金と直接照合する
  • カード:決済端末や管理画面の売上と照合する
  • QR・電子マネー:サービス別の売上と入金予定を追う
  • デリバリー:注文売上、値引き、手数料、振込額を分けて確認する

レジの総売上と、各経路の合計は同じになるはずです。ここが合わなければ、入力漏れ、会計の取り消し、営業日の切り替え時刻、端末の通信状況などを確認します。深夜営業では、来店日と会計日がずれる場合もあるため、「何時までを同じ営業日とするか」を先に決めておくと調べやすくなります。

経路を増やしすぎる必要はありません。店で見分けられる単位にそろえるのが先です。たとえばQR決済を複数使っていても、入金日や手数料をサービス別に追うなら分けます。まとめて一度に入金されるなら、日次は「QR合計」、週次の明細でサービス別に確認する方法もあります。

現金、カード、QR、デリバリーの営業日売上と入金時期を分けた図

日次締めは、現金差額と未入金をその日に残す

日次締めの役割は、営業日の事実を翌日へ正しく渡すことです。閉店後に利益分析まで終わらせる必要はありません。売上、現金、仕入、ロス、未入金の入口をそろえれば、詳しい確認は週次や月次へ回せます。

現金は「あるはずの金額」と「実際に数えた金額」を比べます。あるはずの金額は、開店時のつり銭に現金売上を足し、現金で払った仕入や経費、返金などを引いた金額です。実際の現金との差がレジ差額です。

差額が出ても、無理に売上や経費を直してゼロにしません。金額、確認した伝票、返金や取り消しの有無、次に確認する人を残します。ここで優先したいのは、見た目を差額ゼロにすることではなく、後から原因を追える状態です。「差額の説明を残す」と考えると、申し送りも短くできます。

カード、QR、デリバリーは、当日の売上を未入金として残します。ここでは「営業日」「入金予定日」「確認日」の3つの日付を分けます。売上が立った日と振込日だけでは、誰がいつ確認したか分からないからです。この3日付がそろうと、月末に未入金を探し回りにくくなります。

現金売上の記録や帳簿の保存は、店内管理だけの話ではありません。国税庁は、一定の現金売上について日々の合計額による記載方法を示しています。具体的な記帳方法や保存条件は事業形態で変わるため、国税庁の案内や税理士へ確認してください。

そのまま使える飲食店の日次締めシート

次のテンプレートは、メモ、表計算ソフト、日報システムのどれでも使えます。【 】を実際の数字や名称へ差し替え、使っていない決済欄は削除してください。最初は必要なサービスだけ残せば十分です。

【飲食店 日次締めシート】

■ 基本情報
営業日:【日付】
店舗名:【店舗名】
締め担当:【担当者名】
確認担当:【確認者名】

■ 売上経路
現金売上:【現金売上】円
カード売上:【カード売上】円
QR・電子マネー売上:【QR売上】円
デリバリー売上:【デリバリー売上】円
その他売上:【その他売上】円
売上合計:【売上合計】円
レジ総売上:【レジ総売上】円
売上経路との差額:【売上差額】円

■ 現金確認
開店時つり銭:【つり銭】円
現金売上:【現金売上】円
現金仕入・経費:【現金支出】円
返金・取り消し:【現金返金】円
あるはずの現金:【帳簿上現金】円
実際に数えた現金:【実残高】円
レジ差額:【レジ差額】円
差額の確認内容:【確認内容】
次の確認担当・期限:【担当者名/日付】

■ 仕入・在庫・ロス
当日の仕入:【仕入額】円
主な仕入先:【仕入先名】
廃棄・ロス:【品目/数量/理由】
在庫で気になった点:【不足・過多・期限など】
証拠書類の保管先:【レシート・請求書の場所】

■ 未入金の記録
決済名:【カード/QR/デリバリー名】
営業日売上:【対象売上】円
入金予定日:【入金予定日】
予定振込額:【手数料差引後の予定額】円
確認日:【確認日】
確認結果:【一致/差額と理由】

申し送り:【翌日に確認すること】

調整のポイントは、担当者が閉店後に分かる数字だけを日次欄へ置くことです。決済手数料が当日に確定しないなら、無理に見積もらず「予定振込額は明細確定後」と書きます。デリバリーも注文総額と実際の振込額を混ぜず、売上と手数料を明細で確認できる形にします。

シートと一緒に決めたいのが、保管場所と提出時刻です。「毎日作る」と決めるだけでは、担当が変わった日に止まりやすくなります。たとえば、閉店後に締め担当が入力し、翌営業日の決めた時刻までに確認担当が差額欄を見る、と役割をつないでおくのがおすすめです。担当者が休んでも、同じ欄を見れば引き継げる状態が完成形です。

売上経路、現金差額、仕入・ロス、未入金で構成する飲食店の日次締めシート
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週次確認で、仕入・在庫・ロスの動きをつなぐ

日次で残した数字は、週に一度まとめて「ずれ」を確認します。毎日細かく分析しようとすると閉店作業が重くなります。週次は、売上経路の合計、入金予定、仕入、在庫、ロスの変化を見る時間です。

  1. 決済明細を照合する:カード、QR、デリバリーの売上と入金予定を確認する
  2. 差額を追う:未解決のレジ差額と売上差額に、原因や次の確認日を付ける
  3. 仕入をまとめる:現金仕入、請求仕入、返品を分けて記録する
  4. 在庫とロスを見る:売れたのに減っていない、仕入れたのに残っていない品目を確認する
  5. 翌週の行動を決める:発注量、保存方法、メニュー、確認担当のうち一つを直す

仕入額と原価は同じではありません。仕入額は、その期間に買った金額です。原価は、売れた商品に使われた材料の金額です。月初に残っていた在庫や、月末に残った在庫があるため、買った金額だけで利益を判断するとずれます。

ロスも金額だけを追うより、「何が、なぜ減ったか」を短く残します。廃棄、作り直し、まかない、計量のばらつきなど、理由が違えば対策も変わります。記録が細かすぎると続かないので、まずは金額や使用量への影響が大きい品目に絞って構いません。

月次確認は、利益と入金残を一緒に見る

月次確認では、一か月の売上と費用をまとめ、どれだけ利益が残ったかを見ます。同時に、まだ入っていないカード、QR、デリバリーの売上がないかも確認します。利益が出ていても、入金が遅れていれば手元のお金は増えません。

決済手数料は、売上から差し引かれた後の振込額だけを見ないことが大切です。営業日の売上、手数料、実際の振込額を分けて照合します。複数のサービスを使っている場合は、締め日と入金日を一覧にし、通帳の入金と結び付けます。

仕入と在庫は、月初在庫、当月仕入、月末在庫のつながりがポイントです。そこへ日次で残した廃棄やロスの記録を添えると、「売上は伸びたのに材料が残らない」「仕入額は増えたのに在庫も増えている」といった違和感を調べやすくなります。

ここまでを会計ソフトや表計算ソフトへまとめれば、数字が経営判断に使えるようになります。ただし、最初からすべてを自動化する必要はありません。先に日次締めの項目と担当を決め、それからPOSレジ、決済サービス、銀行、会計ソフトの連携で転記を減らすほうが、間違った流れをそのまま速くするのを防げます。

日次で事実を残し、週次でずれを追い、月次で利益と入金残を確認する流れ

よくある失敗は、月末にまとめて合わせること

数字管理が止まりやすいのは、作業量が多いからだけではありません。記録する日と確認する日が離れ、当日の記憶や証拠が消えることも大きな原因です。

  • 入金額をそのまま売上にする:手数料が引かれ、営業日の売上と一致しなくなる
  • レジ差額を黙って直す:原因が残らず、同じずれが繰り返される
  • 仕入と原価を同じ数字で見る:在庫の増減やロスが見えなくなる
  • すべてを一人で抱える:休みの日に締めが止まり、確認も遅れる

もう一つは、記録項目を増やしすぎることです。来客数、客単価、時間帯、商品別、人件費など、見たい数字は増えていきます。ただ、閉店後に入力しきれない項目は、記録からこぼれやすくなります。まずは売上経路、現金差額、仕入・ロス、未入金に絞り、続けられると分かってから追加しましょう。

経理の型は、完璧な表ではなく、次の人が確認できる受け渡しです。差額があっても、証拠と確認担当が残っていれば前へ進めます。逆に数字だけがきれいでも、どう合わせたか分からなければ、月末に同じ確認をやり直すことになります。

まとめ:一枚の日次締めシートから始める

飲食店の経理を回すには、売上と入金を分け、確認する役割を日次・週次・月次に分けます。日次は営業日の事実を残す。週次は決済明細、差額、仕入、在庫、ロスのずれを追う。月次は利益と未入金残を見て、次の行動を決めます。

今日から全部を変えなくても構いません。まずは締め担当が、日次締めシートの【 】を店で使っている売上経路へ合わせます。そして一週間だけ、閉店後にレジ差額を残し、翌営業日に確認担当が未入金の確認日を記録してみてください。月末に通帳とレジを一から見直す時間が減れば、その型は店を支える仕組みになり始めています。

Q&A

Q1. 日次締めで決済手数料まで確定させる必要はありますか?

当日に確定しない手数料は、無理に見積もる必要はありません。日次は売上額と入金予定を残し、明細が確定する週次または月次に手数料と振込額を照合します。

Q2. レジ差額が少額なら、そのまま処理してもよいですか?

少額でも、まず差額と確認内容を残してください。処理方法や会計上の扱いは、社内ルールや税理士の確認に従います。

Q3. POSレジと会計ソフトを連携すれば、日次締めは不要ですか?

入力作業は減らせますが、実際の現金、取り消し、ロス、未入金まで自動で確認できるとは限りません。連携後も、締め担当が差額と例外を確認する短い作業は残します。

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